Vol.02 和ハーブを天ぷらに

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そろそろ山も装いだそうかというころ、高知市のおびさんロードで開催されている「おびさんマルシェ」に、「土佐和ハーブ協会」も出店すると聞きつけ、遊びに伺った。

目的はただひとつ。自らを「天ぷらを揚げて三千年」と謳う、松岡さんがつくる、和ハーブの天ぷらを食べるためだ。

前回のフィールドワーク(VOl.01を参照)の際、「これは天ぷらにするとうまい」という声を何度となく聞いていた。野草の天ぷらというと、春の“ふきのとう”や“タラの芽”などを思い浮かべるが、秋には秋のおいしい野草がたくさんあるらしい。いったいどんなものなのか。期待をつのらせ向かってみると、作務衣に手ぬぐい姿で小気味よく天ぷらを揚げている松岡さんがいた。(作務衣に手ぬぐいは、松岡さんのいつものスタイルだが、今このタイミングで見ると)もはや天ぷら職人にしか見えない。

「よくきたね〜、もうすぐ揚がるよ」

仁淀川近くの「和ハーブ自然園」で育てられた野草は、葉や茎の中にたくさんの水分を蓄えていて、小さな泡をパチパチたてながら油の中を泳いでいた。それを菜箸でそっとすくい、鍋の上で、そのまま静かに油が落ちるのを待つ。

「油を切るって言うでしょ?サクッと仕上げるコツはここなんだよ。油を切らずにトレイや紙の上で油を落としても意味がない。油の酸化を防ぐために、柑橘系の食材を合間に揚げるのもポイントかな」

食材は、熱にとけやすいもの以外はなんでも大丈夫なようで、本日は、ヨモギ、ユキノシタ、和ハッカ、ドクダミ、エゴマ、ヤブガラシとのこと。いちばん身近な存在のヨモギは、さわやかな香りが特徴。葉が茶色く、苦そうなユキノシタは思いのほか癖がなく、ドクダミは苦味と匂いが強い。和ハッカは名前のごとくミント系の香りがして、エゴマとヤブガラシにはピリッとした辛味がある。そして、どれも共通して少し薬っぽい匂いがするのだが、天ぷらにすると、さほど気にならない。匂いのキツさは油がコーティングしてくれ、逆に、匂いの少ないものは、オリーブオイルの風味がプラスされておいしさが増す。野草と天ぷらの相性のよさは、これゆえ。

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では、さっそく一口。

「香ばしい!」

 

サクッと揚がった天ぷらはどれもスナック感覚で食べられる軽さで、ついついビールが進む。しかも体にいいときたもんだから、罪悪感なしでパクパクいける。なんてしあわせなおつまみなんだ!揚がったそばから、おいしくいただいていると、「これ一粒だけとって食べてみて」と、松岡さん。

差し出された小さな粒は、おそろしく苦かった。

「これはね、ヤマイモの雌花のタネ。ふつうムカゴ(球芽)ができるでしょ?ムカゴは交配しなくてもできるんだけど、タネは受粉しないとできない。この苦味がデトックスに効く成分なんだよね」

たしかに「効きそう」という苦さ。頭で考えるより、体がそれを知っているような気がする。

「たまにね、こういうのを食べるといいんだよ。人の体を整えてくれる力をもつ。そういうことをいろいろなところで伝えていきたい」

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ちなみに、今回食した和ハーブの効能・作用は以下のとおり。

ヨモギ・・・生理不順、血行促進、抗菌、鎮痛
ユキノシタ・・・利尿、湿疹、むくみ、動脈硬化
和ハッカ・・・消化不良、鎮痛、収斂、消炎
ドクダミ・・・解熱、排膿、利尿、抗菌
エゴマ・・・動脈硬化、殺菌、ガン予防、抗酸
ヤブガラシ・・・利尿、鎮痛、神経痛、解毒

こういった効能も、ひとつひとつ味わって食べると、体のより深いところまで浸透しそうな気がするから不思議だ。

和ハーブのスープも人気のメニュー

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取材・文/多田千里 写真/永田智恵
Writer : Chisato Tada Photo : Chie Nagata